インプラント周囲炎は危険!予防方法となってしまった時のリカバリー方法!
2017年7月19日
1.インプラント周囲炎とは?
インプラント周囲の骨が吸収を起こす事です。天然歯でいう歯周病の事です。歯肉から出血、痛み、排膿が起こりさらに悪化してしまうと最終的には抜け落ちてしまいます。
2.なぜインプラント周囲炎になるのか?
2-1.細菌(プラーク)
歯周病もインプラント周囲炎も原因は口腔内細菌(プラーク)です。まずプラークがインプラントの上部構造の周りに付着すると歯肉が腫れてきます。歯肉が腫れているだけの状態はインプラント粘膜周囲炎です。さらに感染が歯肉に止まらず骨まで達してしまい骨が吸収してしまいます。
2-2.天然歯が重度の歯周病になっている
悪性度が高い歯周病菌が口腔内に停滞しているとインプラントにも悪影響です。
2-3.その他
全身疾患をお持ちの方(糖尿病)、喫煙、歯ぎしり、噛み合わせなどが考えられます。
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3.インプラント周囲炎にならない為の2つの予防方法
3-1.セルフケア
毎日のケアがとても大切です。歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス等で付着した細菌(プラーク)をしっかり取り除きます。その後殺菌作用の高い洗口剤でうがいを行います。
3-2.プロフェッショナルケア
歯科医師や歯科衛生士による専門的な機械によるケア(PMTC)を受けて頂きご自身では磨きづらい場所のプラーク除去を行います。
4.インプラント周囲炎になってしまった場合
徹底したプラークコントロールを前提として外科的な療法を行ないます。局所麻酔下で歯肉を剥離し、骨から露出したインプラントの粗造なチタンの部分を明示します。
この部分に不良肉芽などの炎症の原因になる物が付着しているので、スケーラーやレーザーを用い機械的に掻爬します。さらにクエン酸など薬液によっても洗浄します。
最後に粗造なチタンの面があると再度プラークが溜まりやすいので、機械的に鏡面研摩します。
歯肉を戻しオペは終了です。
炎症が治ると歯肉は短縮し、インプラントの一部は露出しますが、これ以上骨吸収は抑えられメンテナンス次第でインプラント周囲炎は消失します。
5.まとめ
インプラント周囲炎の原因は細菌です。毎日のセルフケアと歯科医師や歯科衛生士によるプロフェッショナルケアでインプラント周囲炎は予防できます。
歯を残したい!歯周病予防は歯を失わないための最も効果的な方法
2017年6月9日
皆様は「歯周病」をご存知でしょうか?以前は「歯槽膿漏」と呼ばれていました。「りんごを食べて歯茎から血がでませんか?」というCMを覚えていっらっしゃる方も多いと思います。ブラッシングで血が出る方、お口がネバネバしている方、口臭がある方、歯がぐらついている方。一つでも思い当たる事があれば「歯周病」の可能性があります。歯周病は進行してしまうと歯が抜けてしまい美味しくお食事が頂けなくなってしまいます。今回は歯周病予防についてお話をさせて頂きます。是非参考になさってください。
1.歯周病予防を絶対行ったほうがいい方
1−1.歯周病検査で歯周ポケットから出血があった方
歯周病検査で歯周ポケットから出血がある方は歯周ポケットに細菌が繁殖しています。
歯周病の中でも悪性度の高い細菌は血液中のヘム鉄が栄養です。
1−2.ご家族が歯周病になっている方
歯周病の細菌は遺伝的な要因、家族内での感染と様々ですが親御さんやパートナーが歯周病になってしまっている場合は要注意です。
1−3.被せ物や詰め物が多い方
被せ物や詰め物が多い方は年月が経つと入れた時の様にぴったりと合わなくなり隙間に磨き残しが見られ細菌が繁殖しやすくなります。
1−4.将来自分の歯を残したい方
ご自身ではしっかりとブラッシングを行なっている方でも磨き残しが見られます。手が届かない部位は歯科衛生士が行うメインテナンスで除去します。
2.歯周病の予防は歯茎と体を整える
歯茎は身体の一部です。風邪を引いた時、疲れが出た時に歯茎が腫れてしまったというご経験がある方も多いと思います。
歯周病は細菌による感染症で身体の抵抗力や免疫力が弱っていると身体が菌に勝てず歯茎は腫れて痛みが出てしまいます。
3.自宅でできる歯周病予防
3−1.歯磨きのテクニックの向上
口腔内の環境は人それぞれですので今の口腔内に合ったブラッシングの方法を行う事が大切です。
3−2.デンタルフロスの使用
磨き残しの40パーセントは歯間部と言われています。歯ブラシだけでのプラークの除去はできません。デンタルフロスは歯間部のプラーク除去にかなり有効的です。
3−3.歯周病に効果的な歯磨き粉
薬用歯磨き粉は殺菌作用が期待できるためセルフケアにもとても有効的です。
各メーカーそれぞれの薬用成分が入っております。
3−4.サプリメントの使用
歯周病菌に戦える様な身体作りも重要なポイントです。小腸を健康にする事により免疫力が付くと言われていますので乳酸菌のサプリメントがオススメです。
3−5.健康的な体作り
風邪を引いたり身体に疲れが溜まると歯周病の急性炎症が起こり腫れたり痛みが出てしまいます。普段より免疫力を付ける事を意識する事でお口のトラブルも予防できます。
4.歯医者で行う歯周病予防
4−1.歯石の除去
歯石を拡大して見てみると軽石の様に穴が開いています。そこには細菌の住処になっておりますので歯石取りを行い細菌の住処を取り除く事が大切です。歯石はセルフケアでは取れませんので歯科医院でのプロフェッショナルケアになります。
4−2.歯周ポケット内のプラーク除去
歯周病の悪性度が高い細菌は嫌気性菌で空気を嫌いますので歯周ポケット内で繁殖します。ブラッシングでは届かない先の細い器具を使用してアプローチをします。
4−3.歯ぎしり用マウスピースの使用
歯ぎしりをすると歯を支えている骨がダメージを受け、骨が吸収してしまいので歯周病が進行してしまいます。寝ている間は要注意ですのでマウスピースの使用をオススメします。歯科医院で作製します。
5.歯周病の治療法
5-1.歯周病の進行を確認するための歯周ポケットの検査
歯周病の診断は歯周ポケット内の深さを審査します。健康な歯肉は3mm
病的な深さは4mm以上です。
5-2.歯茎の腫れを確認するためのお口の中の写真
口腔内写真を撮り歯周病治療の経過を写真で記録する事により治癒が明確化するため、患者さんのモチベーションアップにも繋がります。
5-3.骨の吸収状態を確認するためのレントゲン撮影
歯を支えている骨はレントゲンを撮らなければ確認する事ができません。
お口全体のレントゲン(オルソパントモ)や部分的なレントゲン(デンタル)、CT撮影を行います。
5−4.歯周病の状態の説明
歯周ポケットや口腔内写真、レントゲンなどの資料を作製し、歯科医師や歯科衛生士が説明を行いそれぞれ患者さん合った治療計画を立てていきます。
5−5.自宅でできる口腔ケアの説明
歯周病治療に毎日のセルフケアは欠かせません。口腔内に合った歯ブラシや歯磨き粉を使用してブラッシングをしてもらい、その後補助的清掃用具(デンタルフロス、歯間ブラシ)を使用します。
5−6.ご自身では取れない歯石除去
歯石はプラークが石灰化している為ご自身でのブラッシングでの除去は困難です。歯科医院に来てもらい歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を使用して歯石除去を行います。
5−7.歯周病がどれくらい改善したか確認します
歯周病治療を1ヶ月から数ヶ月行った後、歯周病治療を始めた資料を元に再評価を行います。
5−8.歯周再生療法
CGFやAFGを歯周外科に用い、歯周組織の再生修復をはかります。完全自己血由来のフィブリンゲルは組織の再生、修復に有効であり感染のリスクを軽減します。CGFはそのフィブリンゲルを患者さんから静脈血を採血し遠心分離器にかけて作製します。また静脈血を遠心分離器にかけて血漿を採取したものがAFGで、それに骨補填材を混ぜてゲル状にします。この再生療法は口腔外科の嚢胞摘出やインプラント治療にもよく用いられます。
当院でも症状により積極的に再生療法を行なっています。
5−9.定期的なクリーニング
歯周病の進行は自身では分かりにくいので定期的に歯科医院へ受診をして検査を行ってもらいクリーニングを行います。自身では磨きにくい所、磨き残しがある所はプロフェッショナルケアで除去をします。
3ヶ月〜半年に一度のクリーニングをお勧めします。
まとめ
歯周病が進行してしまうと生活に支障をきたしQOLの低下の原因になり兼ねません。歯周病は自身で予防ができる病気です。口の中をしっかりと把握して正しい知識でケアを行う事により歯を守る事が可能になります。毎日のブラッシングは必要不可欠です。
何か悩みや疑問があれば歯科医院へ相談して下さい。