口の中がヒリヒリして食事ができない!もしかして「口腔扁平苔癬」かも?〜治療方法などについて〜

口腔扁平苔癬サムネ

最近、口腔内がヒリヒリする、痛いという症状を訴えて来院する方が増えています。

その中の一つとして口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)という粘膜疾患があります。

今回は口腔扁平苔癬についてのお話です。

口腔扁平苔癬とは

口腔扁平苔癬の画像
頬粘膜にできた口腔扁平苔癬の画像

皮膚または粘膜、あるいはその両者に生じる慢性の角化異常を伴う炎症性疾患です。

2017年改訂のWHOが提唱した「口腔潜在的悪性疾患」の1つで経過中に約1%が悪性化すると言われています。

Table 1 OPMDs(WHO 2017)
紅板症
紅板白板症
白板症
口腔粘膜下線維症
先天性角化不全症
無煙タバコ角化症
リバーススモーキング関連口蓋病変
慢性カンジダ症
扁平苔癬
円板状エリテマトーデス
梅毒性舌炎
日光性角化症(口唇のみ)

引用元 J-STAGE 口腔病学会雑誌 口腔潜在的悪性疾患
— 本邦での新たな疾患概念の提唱 —

口腔扁平苔癬の原因について

口腔扁平苔癬は原因不明疾患ですが、遺伝と免疫が関係している可能性があります。

粘膜の表面内の抗原(アレルギー型の反応)に対して体が反応していることが示唆されています。

扁平苔癬は皮膚にも現れる疾患です。

皮膚扁平苔癬白色の画像
皮膚扁平苔癬白色の画像

症状や特徴について

両側性、多発性に生じることが多く、中高年以降の女性に好発し、症状は長い間続く場合があり、時には悪化したり、時には軽くなったりを繰り返します。

白色型(網状型、環状型) 頬の内側に白い斑点または糸状の病変として現れほとんど痛みはありません。

口腔扁平苔癬白色の画像
口腔扁平苔癬白色の画像
口腔扁平苔癬白色の画像
口腔扁平苔癬白色の画像

赤色型(びらん、潰瘍) 赤くびらんや潰瘍ができ疼痛を伴います。

口腔扁平苔癬の画像(赤色型)

口腔扁平苔癬の好発部位は頬粘膜、舌、歯肉、口唇です。

口腔扁平苔癬、白板症、口腔カンジダ症の違いについて

口腔扁平苔癬白板症口腔カンジダ症
写真口腔扁平苔癬白色の画像
原因原因不明疾患だが、遺伝と免疫が関係している可能性があるタバコ
外的要因(合っていない入れ歯が擦れたりする事や粘膜を噛んでしまう)
カンジダ・アルビカンス
(真菌)
症状白い斑点
赤くびらんや潰瘍ができ疼痛を伴う
白または灰色の斑点で拭き取ることができない白苔で拭き取る事ができる
好発部位頬粘膜

歯肉 
口唇
舌 
頬粘膜
歯肉
口腔粘膜
治療法外用治療薬
内服薬の投与
切除外用治療薬
内服薬の投与
備考約1%が悪性化する悪性化の可能性あり免疫力低下によりカンジダ菌が繁殖する
北海道大学大学院歯学研究院口腔病態学分野・口腔診断内科学教室3代目教授北川善政先生の資料より)
このような症状が出たら口腔扁平苔癬を疑います。
  • 頬っぺたの粘膜にレース状の白い筋ができた
  • 頬っぺたの粘膜が赤くびらんや潰瘍になってヒリヒリする
  • 口腔内全体が痛く食事ができない
  • 症状を繰り返す

口腔扁平苔癬の治療方法について

口腔扁平苔癬の治療方法は症状によって異なりますが一般的には以下の通りがあげられます。

これらは、細胞性免疫を賦活させ、IgE抗体産生抑制を促します。

外用治療薬

ステロイド軟膏

うがい薬

噴霧剤

内服薬の投与

ステロイド

角化症治療剤など

漢方薬(内服及び含嗽剤しての使用)

口腔扁平苔癬のよくある質問

口腔扁平苔癬は自然治癒しますか?
自然治癒はほとんどありません。
口腔扁平苔癬はうつりますか?
口腔扁平苔癬は人から人へ感染することはありません。
口腔扁平苔癬は市販のビタミン剤で治りますか?
ビタミン剤では治りません。
口腔扁平苔癬の原因は金属アレルギーですか?
原因は不明ですが金属アレルギーが口腔扁平苔癬を誘発している可能性も御座います。
口腔扁平苔癬は何科に受診すれば良いですか?
掛かりつけの一般歯科を受診して頂き、症状によっては口腔外科を紹介する場合も御座います。
口腔扁平苔癬が悪化しているときに歯を磨くと痛みます。どうすればいいでしょうか?
口腔扁平苔癬が悪化した場合、歯ブラシが不快に感じるかと思いますが、口腔内はできるだけ衛生にして下さい。柔らかめの歯ブラシを使用して頂く事をオススメします。
詳しくは掛かりつけの歯科医師、歯科衛生士にご相談下さい。

まとめ

今回は、特に女性で悩まれている患者様も多い口腔扁平苔癬についてや口腔扁平苔癬、白板症、口腔カンジダ症の違いについてのお話しました。

口腔扁平苔癬は原因不明の疾患ですが粘膜の表面内の抗原(アレルギー型の反応)に対して体が反応していることが示唆されています。

また、症状によっても治療方法が異なりますのでお悩みの方は一度掛かりつけのクリニックにご相談下さいね。