歯を失ってしまい入れ歯を入れたけど噛めなくて悩んでいたり、違和感があるのでインプラントを入れて、以前のように噛めるようになりたいと希望されている人も多く見られると思います。
今回は部分入れ歯からインプラントに変えたい患者様の様々な疑問にお答えします。
- 部分入れ歯からインプラントにする事は概ね可能である
- 部分入れ歯よりもインプラントの方が噛めるようになるので食事が快適になる
- インプラント治療はQOLの向上をさせる
- 部分入れ歯からインプラントに変える場合、治療費が高額になる
- 部分入れ歯からインプラントに変える場合、全身疾患をお持ちの人や喫煙者は難しい場合がある。
インプラント(implant)とは人の身体に人工物を入れる総称です。
歯科では歯を根っこごと失ってしまった部位にインプラントを埋め込んで人工的な根を作り、インプラントを土台にして人工的な歯を被せます。
歯科に関わらず医科でも整形外科の人工関節や美容外科で入れるシリコンもインプラントと呼ばれます。
インプラントは失った歯を取り戻す治療ですので天然歯と同じような感覚で咬む事ができます。
入れ歯は、失った歯の機能を回復し、食事や会話を楽しむために役立ちます。
基本的には取り外し式となり、毎日のお手入れが必要となります。
入れ歯の種類について
部分入れ歯
部分的に歯を失った時に使う入れ歯です。
周りの歯に金属のバネをかけて固定します。
保険適用で費用を抑えられるのがメリットですが、バネが目立ったり、見た目が自然ではないというデメリットもあります。
見た目や薄さなどに考慮した保険外の入れ歯もあります。
総入れ歯
全ての歯を失った時に使う入れ歯です。
歯茎に吸着させて固定します。
保険適用で費用を抑えられるのがメリットですが、喋ったり食べたりする時に動いてしまうことがあります。
見た目や薄さなどに考慮した保険外の入れ歯もあります。
入れ歯のメリット
- 保健適応なので料金が安い
- 治療の期間が短期間で済む
- 修理や調整がしやすい
- 自費診療の場合は目立たない薄い入れ歯もある
- 取り外し式なのでお手入れしやすい
- 健康な歯を削る必要はない
入れ歯のデメリット
- 保険適応の入れ歯は厚みがありバネが目立つ
- 食べカスが入りやすい
- 天然歯に比べ咬合力は30%〜40%位と言われている
- 食べにくい物もある
- 破損する場合が多い
- 毎日取り外してお手入れをする必要がある
入れ歯からインプラントにする事は概ね可能です。
しかし、インプラントは骨がある部分にしか入れる事ができません。インプラント治療をお考えの方は骨があるかCT撮影などで事前に診査、診断が必要です。
骨が無い場合でも、骨造成という骨を事前に作っておく方法もありますのでかかりつけのクリニックに相談してみると良いでしょう。
部分入れ歯からインプラントにする場合は基本的に失われてしまった本数分のインプラント体を埋め込むケースがほとんどです。
基本的な治療の場合、インプラントを埋め込んでから3、4ヶ月置いて被せ物の歯を作ります。
費用は1本あたり平均値で20万円〜40万円が相場となります。
また、クリニックによってはインプラント部と被せ物の費用が別になっている場合もあります。
部分入れ歯からインプラントにするメリット
- 天然歯のように噛めるようになるので食べ物の選択肢が増える
- 口の中の異物感が無くなり、生活が快適になる
- 取り外しをして洗浄する手間がなくなる
- バネが掛かる歯の見た目が気にならなくなる
インプラント治療の最大のメリットは咬合力が復活する事です。
部分入れ歯の咬合力は天然歯の30〜40%と言われています。
それに対してインプラントは天然歯と比べて90%の咬合力ですので、概ね天然歯に近い力で噛めます。
そして取り外して洗う手間が無くなるのも大きなメリットです。
部分入れ歯からインプラントにするデメリット
- インプラント治療は保険適応外なので治療費が高額になる
- 全身疾患がある場合は治療が受けられない場合がある
- インプラントを埋め込んでから歯を入れるまで時間がかかる
- インプラント周囲炎という歯周病と同じ症状になる可能性がある
インプラント治療のデメリットとしては、地域差があるものの、保険適応外なので治療費が高額になる事が挙げられます。
また、しっかりとメンテナンスをしなければ、歯周病と同じ症状になってしまい、抜けてしまう事もあります。
全身疾患をお持ちの人や、喫煙者の人は治療を断られてしまう事もあります。
歯科医師によるカウンセリングと検査を行い、インプラント治療が適しているかどうかを判断します。患者さんの全身状態や内科的な疾患等を確認し、レントゲンやCT撮影を行い、骨の状態や歯肉の状態などを詳しく調べます。
歯周病の患者様は歯周病治療が優先になる場合もあります。
step1の資料を元に医師が具体的な治療計画を決定します。
インプラントの種類や配置位置、必要な場合は骨造成が必要かどうかを決定します。
歯周病などによって骨が溶けてしまった部位には手術をする事が出来ませんので、インプラント手術を行う前にあらかじめ骨造成を行う事により、骨量や骨の厚さが増してインプラント手術を可能にする環境を作ります。
骨を作ってからは状態によって数ヶ月待機します。
あごの骨にインプラント体を埋め込みます。局所麻酔で行うので、痛みを感じることはほとんどありません。手術時間は約1時間~2時間程度です。
インプラント体と骨が結合するまで、約3ヶ月~6ヶ月ほど待機します。
待機している間は今まで使用していた入れ歯や、仮歯を装着することが可能です。
アバットメントはネジ(インプラント)と上部構造(被せ物)をしっかりとつなぎ、自然な噛み心地や見た目を提供する小さいですがとても重要な部分です。
アバットメント装着手術時間は30分〜1時間程度です。
アバットメントが装着されたら人工の歯(被せ物)の型取りをします。被せ物が入ってインプラント治療は終了です。
部分入れ歯からインプラント治療に移行する事は概ね可能です。
インプラント治療は失った歯を取り戻す治療なので部分入れ歯で噛めず、食事にストレスを感じている人にはとても良い選択になるでしょう。
しかし、保険適応外なので治療費が高額になる場合もあります。また、定期的なメンテナンスも必要です。