- 天然歯とインプラントは大きな違いが3つある
- 天然歯には歯根膜が存在するがインプラントには歯根膜が無い
- 天然歯は血液供給が十分にあるがインプラントは天然歯に比べて少ない
- 天然歯とインプラントは歯肉繊維の方向に違いがある
インプラントは天然歯と同じような感覚で噛むことが出来ますが、実は構造上の違いがあります。
今回は天然歯とインプラントに違いについて詳しく解説していきます。
インプラント(implant)とは人の身体に人工物を入れる総称です。
歯科では歯を根っこごと失ってしまった部位にインプラントを埋め込んで人工的な根を作り、インプラントを土台にして人工的な歯を被せます。
歯科に関わらず医科でも整形外科の人工関節や美容外科で入れるシリコンもインプラントと呼ばれます。
インプラントは失った歯を取り戻す治療ですので天然歯と同じような感覚で咬む事ができます。
天然歯とインプラントでは構造上大きな違いが3つあります。
それは歯根膜の有無、血液の供給の仕方の違い、歯肉繊維の違いです。
一番の大きな違いは「歯根膜」の存在の有無です。
歯と骨の間にある厚さはわずか0.3mm程ですが、歯の靭帯とも呼ばれている重要な組織です。
噛む力を受け止めてくれるクッションの役割を果たしてくれています。
歯と歯槽骨を細い繊維で繋いでいて、神経も通っており、血液も巡回しているので栄養の供給が十分に行き渡っています。
さらに、歯周ポケットからの細菌感染も防いでくれます。
インプラントは天然歯を抜歯してそこの部位に埋めるので歯根膜は破壊されてしまい、再生はしません。
歯根膜は天然歯のみに存在します。
天然歯は歯肉、歯槽骨、歯根膜の3方向からの血液供給があります。
血液には好中球と呼ばれる細菌と戦ってくれる血液成分が存在して、天然歯の場合は歯周ポケットに歯周病菌が侵入した際は防御してくれます。
しかしインプラントの場合は歯根膜が無く、血液の供給が歯肉と歯槽骨の2方向しかないので、歯周ポケットに細菌が侵入しても十分に戦えません。
そのため、インプラントは歯周病のような状態のインプラント周囲炎に罹ってしまうと、抵抗力が弱いため、歯槽骨の吸収が天然歯よりも早く進行してしまいます。
天然歯、インプラント共に歯肉繊維と呼ばれる繊維で付着しています。
天然歯は歯肉繊維が歯根に対して垂直に走っていて、尚且つ、様々な種類の歯肉繊維が歯の周りを覆っていますので、とても頑丈です。
インプラントは歯肉繊維がインプラントに対して並行に走っているだけとなります。
いかがでしたか?
天然歯とインプラントの違いについてお話しました。インプラントは天然歯のように噛めるのが特徴ですが、構造上に大きな違いがあり、細菌感染に弱いのでインプラント周囲炎になりやすいのでセルフケアを怠らず、定期的なメンテナンスが必須となります。